『感謝する』*悲しみから抜け出す技術6
人間、追い詰められるほどにどん底のときは、案外、悲しんでいる暇もないほどの状況であったりもします。
悲しみに浸れる状況があるのは、ある種、まだ心のどこかに余裕があると言えます。
そういった何かしらの余裕がある中での悲しみは、往々にして、人生の全てにおいて悲観的な状況というわけではないことが大半です。
悲しい気分に陥りやすい人の中には、悲しい気分に浸ること自体に囚われている人もいるのです。
たとえ、ある瞬間において「お先真っ暗」と感じるほどの悲しみに囚われたとしても、日々過ごす中において、実は何かしらの「良いこと」や「嬉しいこと」が客観的に見つけられる状態にあるはずです。
自分の悲しみばかりに注目してしま人は、そういった良いことや嬉しいことに対してとても鈍感な場合が非常に多いのです。
人なみに働けて、人なみに元気な身体であり、衣食住にも困らず、紛争のない国で平和な日常があり、水道をひねれば飲める水が常に流れ、24時間いつでも食べる物が手に入る…。
月並みですが、自分の悲しみに明け暮れる前に、まず本当にこういった自分を含めた自分をとりまく当たり前の環境や状況が「どれほど幸せなことか」ということを考えてみることも必要です。
自分が悲しみの中心にいる時、当然ながらその原因は外の世界にあると感じてしまいます。
しかし、自分が悲しみの中心にいる悲劇のヒロインをやめないかぎり、外の世界に悲しみの原因が渦巻く状態を、自らが作り続けていることにもなるのです。
どんな人であっても、どれほど恵まれているような人であっても、必ず心に何らかの悲しみがあるものなのです。
極論を言えば、人生、悲しいことがあって当然、というくらいのものです。
自分が囚われている悲しみにどれほどの価値があるのか?、本当にいつまでも引きずるしかない悲しみなのか?、自分の人生が今のままで良いのか?ということを冷静に考えてみてください。
そして本当に自分は悲しんでいることしかできないのか?この状況を変えるために自分が自分にできることはないのか?ということを真剣に考えてみてほしいと思います。
人はおそらく、悲しみの一切ない生涯を送ることは難しいと思いいます。
けれど、その悲しみを手放しながら、幸せをつかんでいくことはできるのです。
感情の整理が上手い人とは、日々のささやかな幸せに感謝することで、訪れる悲しみを上手く手放し続けられる人だと思います。
*参考書籍
「感情の整理」が上手い人の70の技術