『分かり合える部分で付き合う』*対人トラブルをかわす技術5
自分が理解されないと感じるとき、人は孤独を含めた様々なネガティブな感情に支配されてしまうことが多いものです。
このことの結論を先に言ってしまうと「完全な解決はない」ということになります。
人は誰であれ、他人のことを完全に理解することはほぼ不可能なのです。
それは夫婦であれ親せきであれ、血のつながった親子ですら難しいということは周知の事実です。
ある程度「相手から理解されない自分」「相手を理解できない自分」という事実を受け入れることも、現代社会においては必要なことでしょう。
ただ、お互い完全に理解できなくとも、分かりあえることはたくさんあります。
価値観や嗜好が似通っている人とは会話も弾み、楽しさや嬉しさが共有できますよネ。
美味しい食事、楽しい映画、仕事のプロジェクトの方向性…などなど、何かを共有しその幸せを共有する瞬間、人はお互いに分かり合えていると感じられ、幸福や平和や安心を感じます。
感情の整理が上手い人は、そういった幸福な時間を感じることを大切にし、そのための時間を意識的に作る工夫もしています。
これは、一つ自分の意識の向け方が大切で、まず「共有できる、分かり合える部分を中心に付き合う」ということにあります。
そして共有できていること、分かり合えていることをしっかりと意識して、一つ一つに対し丁寧に認識することが大切です。
仮に、分かり合えない部分がお互いの関係において大きな障害で在る場合は、「話し合う」「伝える」「訊く」という行動も時には必要となるでしょう。
どんなに分かり合えている者同士であっても、意見の相違や感情のぶつかり合いは普通にあるものです。
むしろそういった食い違いや摩擦がお互いの勘違いを修正し、双方の理解を深めるきっかけとなることも少なくないのです。
ヒトとはそうやって試行錯誤しながらコミュニティーの中で成長していく部分もあるのです。
また、どんなに気の合わない人とでも、ほんの一瞬、「悔しいケド、意見は同じだな」というような場面もあるものです。
そんな時はその感情を無視せず「へぇ、そういう風に考えるトコロもあるんだな」と、分かり合える部分もあるということを素直に認め、そのことを素直に喜ぶようにしましょう。
「この人と付き合えないわけではない」と考えていくことで、今まで顔を見るだけで不快になっていた相手であっても、笑顔で挨拶するくらいのことはできるようになるものです。
感情の行き違いや双方の思い込みによる誤解は、コミュニティーにおいて日常茶飯事のことです。
瞬時に変わるヒトの感情の一つだけを切り取って「この人はこの程度の人だったのか」と、相手の人格の全てを決めつけてしまうのは非常に大げさですし、失礼な話です。
コミュニケーションにおいて不快な事が多い人は、起こる出来事の全てを相手の流れや感情に依存(相手のせい)にするのではなく、自分自らの流れを持って「お互いに分かり合えない部分に出会った」と捉えるようにしてみましょう。
*参考書籍
「感情の整理」が上手い人の70の技術